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DIY賃貸の経済学〈5/5〉入居者によるDIYライフ最前線

カテゴリー:スペースRデザイン事業
投稿日:2018.8.15

DIYで不動産を動かすための5つ目、最後の重要ポジションが借家人が動かすDIY賃貸。
スペースRデザインでは、入居者さんと管理会社協働による表装DIYを「リノっしょ」というサービスで、住まいの満足度を高める効果を確認してきました。
これを発展させた取り組みが、入居契約のうえで、100万円を越える材料費を設定し、入居者さんに自由な発想で室内加工を任せた事例。

入居者さんは、知人のDIYディレクターと一緒にへや作り。そこで生まれたチーム名は、「決めないということを決めてしまった」コンセプトそのものの『偶然工務店』。アンチ合理性・アンチ完璧による表現の自由を掲げ、材料の本来の用途にこだわらず、解体現場・古道具屋を巡る旅で出会ったパーツを使う、工期も完成図面もない、経済的合理性無視であり、普通のオーナーは了解する訳ない勇気あるプロジェクト 笑。

しかし、DIYのお手伝いでは友人や学生さんや同物件の入居者さんまで集まって、その間の来室者は全国からの視察やテレビ取材などの報道関係者を含め120名。

完成した作品(というレベル)は、驚くべき住まいのアート空間で、こんな価値観の部屋はリノベマニアの 吉原も初めての経験です。

3つのポイント、
①「決めないことを決めた ことから生まれた室内改造の過程(リノベーションの概念に収まらないのであえて“改造”と表現しました)」
②「非合理から生まれるデザイン」
③「DIYプロセスから生まれるリアルなつながり」。

ここから生まれた唯一無二の、社会に開かれた過程で出来た部屋は、今生活を始めたNさんのこれからに、大きな変化を起こすものと思われます。

経営には常に、短期視点と長期視点が必要であり、築100年賃貸経営を目指す私たちの経営方針の中では想定内と考えました。問題は、あえて家賃収入が無い期間を設定したことで得られた貴重な経験を、社員たちや関わってくれた人たちがどれだけ理解して、今後の経験に生かせるか、そちらに興味がある訳です。

普通の入居者DIYの話題からすると、少し特殊事例になってしまいましたが、このように入居者の立場から、DIYはこれからの住まいのあり方を探るための最高の武器になりそう。

そんな意味で、DIYは賃貸というただ住まうだけの空間を、また賃貸経営者側・業界側から一方的に提供されてきた、片寄った使い捨て型住居商品を、消費者が必要とする住まいとは何かの気付きを与えてくれるプロジェクトになりました。

この事例は、マイホームでもない、賃貸でもない、新概念の住まいのカタチを教えてくれているのかもしれません。

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吉原住宅 代表プロフィール
吉原住宅有限会社
代表取締役

吉原勝己

1961年福岡市生まれ。1984年九州大学理学部卒業後、旭化成で医薬品の臨床研究を17年行う。その後吉原住宅に入社。
老朽ビルの再生が、資産価値向上と人のつながりを深める手段となることを確認する。