日本建築学会2019年大会寄稿 団地活性化論文

カテゴリー:セミナー、勉強会
投稿日:2019.10.15

日本建築学会2019年大会(金沢)では、先生方から研究協議会に誘って頂き、その報告内容を 株式会社スペースRデザイン 学術グループで寄稿論文にまとめてみました。題がもう長いし 笑。

『民間賃貸団地「コーポ江戸屋敷」(福岡県久留米市)における、団地内カレッジから始まる経年不動産経営再生、それに続くエリアの活性化~DIYデザイン・コミュニティデザイン・マーケットデザインの同調手法』

まとめると。久留米市の小型民間賃貸団地で、2015年から まちの活性化を学ぶための、社会実験の経営報告。結果として、室内リノベーション手法が経営戦略に使えない地方都市において、「共感型不動産」によるバリューアップ手法が、有効になるのかもしれないという内容です。これからの空室だらけで追加投資の経営困難な賃貸住宅マーケットを考える上で、「ハード」への投資から脱却し、「ソフト」&「オペレーション」を重視した経営手法の優位性が示唆されます。

久留米市において、マイホーム価格が低廉な地方の住宅マーケットの中で、賃貸経営における「室内リノベーション手法」が、マーケットから否定される中。チームネット 甲斐 徹郎先生、九州工業大学 徳田 光弘先生を講師として、団地での「コミュニティデザイナー養成講座」・「まちづくりプロジェクトマネージャー養成講座」に招聘させて頂き、団地内遊休不動産を使った、市民学習から始まる変化の報告。
まずは、勉強会をきっかけに、団地の7年後のステキな姿が受講生によって描かれたことがきっかけに、団地のエネルギーとなり
・「団地コミュニティデザイナー」
・「団地DIYデザイナー」
という新職能や入居者が生まれる。
次に、これらと「オーナー・不動産管理会社・入居者」が一体となった、「エクステリアを舞台としたDIYリノベーションのワークショップイベント」から、団地内の「くらしの共感者」が増え始める。
そんな「団地内共感者」が増えると、「住まいの満足度」があがると思われ、住居の稼働率が高まる。それと平行し、今まで無かった1Fへのテナント需要が喚起され、住宅オンリーの用途から、エリアにあるべき団地の新需要が惹起され、団地全体の稼働率が高まり、経営が安定しはじめる。
それに続き、受講生がそれぞれの地元で、「まちづくりプロジェクトマネージャー」として久留米市内で同時多発的に、まちを活性化する活動に入っていく。
結論として、団地内 空室を使った学びと気付きと行動とそのアウトカムの体験が、まちに多様なリレーションシップを生み出し、当該団地の経営再生をもたらす。それに加え、それが団地外エリアにも伝播し、市民が次の時代のまちのあり方を考え、まち変えるエネルギーとして広がっているのかもしれない。という長いお話しでした。

以上、建築社会システム部門の「住宅ストック法制度・政策小委員会」「建築・不動産マネジメント小委員会」研究協議会で企画された『建築のリ・スタート』をテーマにした3時間30分セッションでの担当報告でした。

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吉原住宅 代表プロフィール
吉原住宅有限会社
代表取締役

吉原勝己

1961年福岡市生まれ。1984年九州大学理学部卒業後、旭化成で医薬品の臨床研究を17年行う。その後吉原住宅に入社。
老朽ビルの再生が、資産価値向上と人のつながりを深める手段となることを確認する。