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3県5峠越え 寒冷ライド: 距離80km、獲得標高1600m

カテゴリー:まちなみ
投稿日:2020.12.12

長く計画していた県境コースを寒波前の今年ラストチャンスで走ってみた。このルートは南北朝時代の南朝滅亡の歴史、ただの峠道ではない。
熊本県山鹿市「道の駅鹿北」スタート-県道13号-柚之木谷トンネルを上り、福岡県矢部村境の第1峠「鹿牟田(かむた)峠280m」は、立派な県境石標があった。ここは雌岳-姫御前岳-雄岳の登山ルートで「姫御所さん参道」の道標。いわれは、南北朝時代 後征西将軍良成親王が天皇の命で九州へ。良成親王の后 姫御前は、身重の体で親王を慕い矢部に向かう。矢部川筋は戦場の為、柚木谷、陣床、雄岳を廻る。ところが、急に産気、難産で亡くなられた。「自分は死ぬが、我れ死なば難産の女を救い安産を得させるであろう」と遺言され、それ以来、里人は「姫御前」をお産の守り神として祟める。
八女市黒木方面に下る。国道442に出る前の県道801号の剣持川を上流 東に上ると「剣持集落」「高良篭集落」、そして第2峠「根引峠560m」へ。
「剣持集落」のご先祖の話があった。南朝 長慶天皇の命で、1366年 後村上天皇第三皇子6歳の「良成親王」に、九州を南朝の味方に付けようと後征西将軍として派遣。戦況が悪くなり天然の要害、矢部・日向神の奥深い大杣に移り「高屋城」を築く。黒木「猫尾城」、大渕「熊之登(くまのと)城」に守られ、剣持にも砦を作り勢力挽回の地とした。発祥の橋本右京貞原公が幼少の「良成親王」の持剣役だったことが地名となり、今も公家唄が歌い継がれる。
そのまた上流「高良篭集落」のご先祖は、遡って南朝 後醍醐天皇の命で、1336年 8歳の征西将軍懐良(かねなが)親王・菊池一族とともに大杣 警護のためこの地に派遣されて始まる(この後を、良成親王が継ぐ)。一族は警備と開拓に従事、土着した。
ルート後半は、矢部村から竹原峠を越え、鯛生金山エリアである大分県中津江山塊の異常な気候に大変な目に合う 笑。

前半2峠では、600年前の南朝滅亡の歴史を、矢部の人たちが生活の中にその存在を今に守られていることを体感。その後、明治期ゴールドラッシュの金山への第3峠に向かう。
途中、日向神ダム沿いの国道442号まで降りると「飯干集落」、さらに東の第3峠 竹原(たけばる)峠 経由で大分県中津江を目指す。意外にも442号は福岡県大川市~八女市矢部~熊本県黒川温泉~大分県竹田市~大分市を結び、やまなみハイウェイ 瀬の本高原でいつもお世話になっている道だった。
奥矢部のガソリンスタンドで驚いたようにこちらを見る人を見ながら(この後、理由がわかる)、大分県中津江村 鯛生への山越えルート「竹原(たけわら)峠 標高740m(くらい)」へ。今日の天気予報にしてはスゴく寒くておかしい、雨も落ちてくる。トンネルは通らず旧道の峠は、立派な県境の石碑。いつもの場所で杉の伐採作業。地図的に主要国道のはずなのに、2005年トンネルができるまでは、狭くて急カーブ58ヶ所、積雪通行止めの旧道峠が難所でマイナー国道だったことは走るとよくわかる。
荒れた旧道は鯛生金山まで続く。明治時代、行商人が見つけた石ころの金から始まる東洋一の鉱山の賑わいは想像もできない。鯛生金山から県道9号を熊本県菊鹿方面へ。意識も薄いまま数えきれないコーナーを上りつめると第4峠「宿ケ峰尾峠 標高800m」。
鯛生の谷合いは地形的に要注意で、ガーミンの5℃とは思えない体感温度の低さが怖い。家はあっても空き家だらけで、人のいる家はほとんどない、自販機もない。あれから車を見たのはパトカー一台だけで、ここには一般車は通らない。止まったら低体温な状況は、E.D.T. ピレネー山脈ツールマレー峠でみんなでヤバかったやつ、パンクしたら終りな感じ。
かなり登ったはずの記憶が失く、着いた宿ケ峰尾峠には不動尊。これから麓まで下りが続き、あるもの全て着ていると、ここで唯一出会ったバイクのおじさんに、ものすごく驚かれる。
熊本県菊鹿に入り、最後の第5峠「荒平峠300m」。途中、松本清張さんが、卑弥呼誕生の地かも と話題になった縄文時代の女性人骨が発見された洞窟に寄る。
こんな冒険的ルートが組めるこの山塊は、阿蘇外輪山と耳納の断層の間に、火山が複雑な地形を生み出したようで、まだまだ歴史にまつわる峠がたくさんありそう。次は春まで待ちましょう。

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吉原住宅 代表プロフィール
吉原住宅有限会社
代表取締役

吉原勝己

1961年福岡市生まれ。1984年九州大学理学部卒業後、旭化成で医薬品の臨床研究を17年行う。その後吉原住宅に入社。
老朽ビルの再生が、資産価値向上と人のつながりを深める手段となることを確認する。