日本の認知症医療に生涯を捧げられた長谷川先生の記事が。自分が製薬会社に新入社員で入社した最初の任務は、世界初の「抗痴呆薬」を開発し、世界中の痴呆で苦しむ人たちを助けること。治験は順調に進むも、結果は、まだ痴呆の診断基準が確立されておらず、時期尚早のレッテルでプロジェクトは断念し、大きな損失が出る。そこに関わって頂いていたのが、この業界では珍しいほどに紳士で思いやりのあられる長谷川先生だった。
このことと関係していると勝手に思っているが、先生はその後、評価スケールや「認知症」という疾患名を生み出され、認知症治療の基礎を作られた偉大な方だった。圧巻は、ご自分の認知症を公表されながらも講演を続けられた最近のお姿だった。先生の一ファンとしてご冥福をお祈り致します。
(西日本新聞2021 11/20より)