冷泉荘ヒストリー

冷泉荘は、福岡・博多区上川端商店街の一本隣の細い路地にある築52年の昭和のレトロビルです。現在の冷泉荘は、ギャラリーや読書室などが設けられ、美味しい料理を出すお店から文化的な創造や地域との交流を目指す方まで、多彩な入居者の方が集った地域交流の場となっています。

それでは、少し、冷泉荘の歴史を振り返ってみようと思います。冷泉荘は昭和30年代、戦後復興の真っ只中に建てられました。シンプルなデザインながら、階段の開口部など随所にモダンなこだわりがみられます。建築当時では珍しかった鉄筋コンクリート造り5階建で、大浴場もあり、誰もが羨む「高級アパート」でした。

ただ、時間の経過とともに、そうした冷泉荘の佇まいも大きく変化していきました。常に新陳代謝を行って、再生を繰り返す人間と違って、建物は、急速に老朽化していきます。壁にはひびが入り、階段の滑り止め板ははがれ、空き部屋にはカビが生えて異臭が漂う、ほとんど入居者のいない老朽物件になってしまっていたのです。

けれども、こうして老朽化した冷泉荘を壊し、新しい建物を建てれば、長い年月をかけて培われたコミュニティも同時に失われてしまいます。まだ使えるもの、残すべきものを取り壊すことに疑問を持ち、2003年から各部屋のリノベーションに着手し、2006年には入居者の方が部屋を好みのデザインに仕上げ、ビル一棟を丸ごと再生させる試みとして3年間限定で集合アトリエ・プロジェクトを開始しました。

その後、3年間の実験的試みを終え、2009年から冷泉荘は、「福岡の古い建物を大切にする考え方の実践(ビルストック活用)」を基本理念に、「ひと」「まち」「文化」を大切に思う人たちが集まる建物「リノベーションミュージアム冷泉荘」としてリニューアルし、現在に至っています。身近なレトロビルには、その歴史の中に人のつながりが息づいています。まちのコミュニティのひとつのかたち「冷泉荘」をご見学下さい。

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