ビンテージビルに住む

一般的に、マンションやビル、戸建などの物件は、築年数が増えれば、その価値が下がるのは普通です。というのも、どんな物件も、モノである限り、経年劣化をはまぬがれられないからです。ただし、こうした普通の価値観とは真逆の建物があります。歳を重ねれば重ねるほど、熟成し、いい味を出してくるような建物があるのです。私たちはそうした建物を「ビンテージビル」と呼んでいます。そして、私たちの仕事は、築30年、40年といった味わいのあるレトロビルを、最適のコンセプトのもとにプロデュースすることで魅力的な「ビンテージビル」に再生させることなのです。

では一体、ビンテージビルとはどういったものでしょうか。それにはいくつか際立った特徴があります。

まず、ビルそのものやパーツに、何らかの仕掛けやデザインが施されていること。有田焼のように深い色合いの外壁タイルだったり、大胆な丸柱や螺旋階段だったり、手作り感が漂う亀甲柄のガラスがはめ込まれていたりします。そうした外壁や細かなディテールにこだわりがある物件は、内部も独特の品格と居住性を秘めている場合が多いです。

次に、ビルに関わる人たちの愛情が織り込まれていること。オーナーの愛情が深いと、ビルが建ってからも大事に管理され、息子や孫の代にまで受け継がれていきます。また、いいビルには、オーナーだけでなく、設計会社や施工会社、管理会社などたくさんの人たちの思い入れに包まれています。一生懸命に、丁寧に工事されたビルは、年代を経ても手造り感があり、古い良さが自然とにじみ出るものです。そんなビルを、新たな発想のビンテージファンが見れば、「これはいいビルだ」と感じるはずです。

さらに言えば、自分の感性に合った物件に住むというこだわりを持った入居者の方がいること。レトロビルには、こだわりを持って住む場所を探し、自分の居場所を大切にする人の性格が建物にまで染み出ています。ビルに「表情」が生まれてくるのです。

建築設計における再生にとどまることなく、建築を取り巻く「都市」を含めて再構築するという意味でのリノベーションに取り組んでいます。古さを逆に付加価値に変えること。暮らしの楽しさというものを商品として提供することができれば、長期的な価値として運用できると考えています。

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