大量の新築ビルが供給される一方で、老朽化したビルのストックが飛躍的に蓄積され続けている福岡。スクラップ&ビルドによって、安易に建替えられたビルは福岡のまち並みと人の繋がりを分裂させ、一方で見放されたビル群はまちのスラム化をもたらす危惧さえ感じさせます。しかし、ヨーロッパでは100年以上の建物が今でも風格を持って使われ、住まう人たちもプライドを持ちながら暮らしています。なぜ福岡でその文化が培われないのかと誰しも思うところではないでしょうか。そういった問題に焦点を当て、ビルのストック活用のための問題点を抽出し議論のうえで理論を構築し、実践していくことを目的とし活動しているのが「福岡ビルストック研究会」です。私たちは、「ストック」を文化のひとつであると捉え、どのように活用し、福岡の財産として今に残すか、「環境・経済・文化」の面から考え、積極的に行動しています。
現在の福岡のビル事情に危機感を感じ、スクラップ&ビルドに対し、残して活用していこうという思いを持つ人々とともに吉原住宅とスペースRデザインは、2006年NPO法人福岡ビルストック研究会を立ち上げました。理事長を吉原 勝己が務め、研究活動をもとに定期的に市民フォーラムや「福岡 DIYリノベ WEEK」などを開催しています。『「ストック」を文化のひとつであると捉え、どのように活用し、財産として今に残すか。』といった考え方は、これからの環境の時代、きっと必要になってくるでしょう。このように活動を続けることで、ビルストックという考え方が広がって行くことを私たちは願っています。
福岡 DIYリノベ WEEK
福岡ビルストック研究会の活動のひとつとして、2014年より毎年「DIY リノベ WEEK」を開催しています。これは老朽物件の空間を自らカスタマイズする“DIYリノベ”の楽しさを福岡のみならず日本中の人々に広く体験していただきたいという想いから始まりました。各地の“DIYリノベ”の楽しさを知る仲間たちが現地で迎えるこのイベントは、福岡県下を巡るいわばリノベーション・ツーリズム! 「DIY リノベ WEEK」を通し、地方都市の再生に動くリノベーションの魅力を感じていただければ幸いです。