山王マンション

リノベーションはここから始まった。福岡初リノベ賃貸マンション
「ビンテージビル創出事業」の住居系賃貸の代表「山王マンション」は、福岡で初の賃貸リノベーションを実施した建物です。1階はテナント、2階以上は住居となっていて、今でこそ6階建マンションは普通ですが、当時はかぼちゃ畑の中でまちのシンボルでした。物珍しさにエレベーターに乗りに来た人もいたくらいで、「子供の頃遊びに来た懐かしいビルですよ」「昔、友達が住んでました」と通りがかりの人に言われるほど、地元の人に見なれた建物です。今では珍しい電話交換室に大型機が設けられ、外部からの電話をつなぐ電話交換嬢がいたなど、最先端の住まいだったようです。そんな山王マンションも2000年頃には築30年となり設備は老朽化。外壁は汚れて黒々とし自慢の有田焼の茶色タイルも落ちかけて、最後は外壁から雨漏れが起こるようになってしまいました。そして、賃料が安くても入居者はいなくなり、徐々に空き部屋ばかりの暗く薄汚い物件になってしまいました。それに伴い、補修費の出費もままならい状況に陥りました。当時の福岡ではスクラップ&ビルドが当たり前で、建設会社さんから頼んでもいない建替え計画が持ち込まれる中、老朽ビルを維持するのはこんなに苦労するものかという思いでした。山王マンションが生まれ変わったのは2003年11月のこと。福岡で賃貸が再生された事例がまだない中、ビルの再生手法を自ら研究開発する決意で福岡初の「賃貸マンションのリノベーション」に取り組み始めました。この当時「リノベーション」という言葉は福岡にはなく、「再生デザイナーズ賃貸マンション」という言葉から動き始めたのでした。
先鋭的なリノベーションによる賃貸マンション
2003年よりリノベーションが行われ、山王マンションは現在45室中33室が全く異なるリノベーション・デザインとなっています。アーティストや作家、デザイナー、建築家、そして学生とのコラボレーションなどによってリノベーションされた部屋は先鋭的なコンセプトやデザインとなっています。特に山王マンションの入居者であり、キーマンである建築家との実験的なリノベーション作品は、2015年「福岡県 美しいまちづくり建築賞」、2014年アメリカのウェブマガジン“Architizer”にて住宅インテリア部門審査員賞を受賞するなど海外からも注目を集めています。
賃貸業界の常識に一石を投じた入居者と一緒にリノベーションする「リノっしょ」
山王マンションのユニークな取り組みとして、入居者の要望やアイデアを取り込み、入居者とスペースRデザインが一緒にリノベーションを行う「リノっしょ」というプログラムが挙げられます。この「リノっしょ」にてリノベーションされた部屋はそのまま次の入居者へと受け継がれて行くようになっています。「退出時には現状回復」が常識の賃貸業界において、この受け継ぐというかたちは斬新なプロジェクトとなりました。このように、吉原住宅では、斬新かつ革新的な実験を行う場を提供しビルの再生を通して、時には業界に新しい風を通すことも重要だと考えています。
“ビンテージビル”でまちづくり「山王リノベ文化祭」
山王マンションを舞台にした、人と人、人と文化が出合うお祭り「山王リノベ文化祭」。イベントの目玉は、吉原住宅とスペースRデザインが主催となって行っている「ビンテージビルカレッジ」。これは、ビルオーナーさんと次世代を担う若いクリエイターが経年ビルからビンテージビルへと熟成させる技術をともに学ぶことを目的に、福岡のレトロビルやビンテージビルファンはもちろん、全国から多くの聴講者が集まって一緒に学ぶセミナーです。その他に、部屋を見学する合間を利用して参加できる「建物」や「住まい」をテーマにしたワークショップもマンション内のあちらこちらで開催。1階の文化祭会場ではあおぞら市を開き、ご近所の方々も気軽に立ち寄れる雰囲気づくりを行ってきました。こうして建物を外へと開くイベントは内容も充実。回数を重ねるごとに、マンションの認知度を高め、入居者さんや地域住民の方々にとっても価値ある交流の場となっています。
ビンテージビルとして築100年を目指して
山王マンションは、2012年にビンテージビルの思想を掲げ、築年数を重ねるごとに価値ある賃貸ビルとして先端を歩むという決意を発表しました。その思いを叶えるには耐震補強は不可欠。2014年には、第一弾の耐震補強工事が完了。通りに面した目立つ場所にあえて設置した耐震ブレースは、山王マンションが、これからまた築100年をめざしていくというメッセージでもあります。ソフトとハード面の両方のコンディションが整った山王マンションは、これからもビンテージビルの先駆けとして進化していきます。
物件概要
名称 山王マンション
構造・規模 RC造 6階建
築年 1967年(昭和42年1月)
所在地 〒812-0016 福岡市博多区博多駅南4丁目19-5
ウェブサイト
株式会社スペースRデザインのウェブサイトで山王マンションをご紹介しております。ここにしかない部屋をどうぞご覧ください。
http://www.space-r.net/rent/sannou
アクセス
交通アクセス
「博多バスターミナル1F」乗車 →「山王一丁目」バス停 または 「扇町」バス停下車
「博多駅筑紫口」乗車 →「山王一丁目」バス停下車
「山王一丁目」バス停から徒歩 約3分、「扇町」バス停から徒歩1分
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